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ジャパンガイド編集長にインタビュー:2021年の振り返りと今後のインバウンドの展望

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新規感染者の数も減少傾向にあり、国内では少しずつ観光地や飲食店の賑わいが戻ってきたように感じます。一方で、新たな変異株の流行で、国際的な旅行客の往来にはまだまだ時間がかかりそうです。

ジャパンガイドでは、今年も安全を考慮しながら、精力的に日本旅行を待ちわびるユーザーに向けて情報を発信してきました。
今回の記事では、ジャパンガイドの編集長であるステファン・シャウエッカーに2021年の振り返り、また来年度以降の展望についてインタビューしました。

Q. 2021年は、インバウンド業界にとって昨年以上に厳しい1年になりました。そのような状況でサイトを運営していく上で、どのような点を意識していましたか?

ジャパンガイドは、日本への旅行を計画中、あるいは日本を旅行中のユーザーが大半を占めています。
そのため、国境が閉ざされている今、私たちにできることは現状かなり少ないというのが正直なところです。
また、海外からの旅行客の受け入れを完全かつ長期的に閉鎖している状況が続き、ほとんどのユーザーが日本への旅行を断念している状況です。

現在は、一定数の熱烈な日本ファンユーザーに向けて、日本の情報を提供することに注力しています。

Q. 2021年、最も印象深いプロジェクトはなんですか?

3つの国立公園(伊勢志摩支笏洞爺慶良間諸島)をテーマにした3本の動画シリーズと、中部地域を横断する6日間旅をテーマにした3本の動画シリーズ(Part1Part2Part3)という、さまざまな理由で非常に印象に残る2つの動画プロジェクトを遂行しました。

コロナウイルスによる緊急事態宣言などの影響により、取材日が度々変更になったり、PCR検査などコロナ関連の対応事項が多かったりと、これらのプロジェクトは企画面で特に困難を極めました。
実際の取材は、天候にも大きく恵まれ、結果的には非常に満足のいくコンテンツを完成させることができました。

壮大な風景が広がる樽前山でのハイキング(「支笏洞爺国立公園」紹介動画より)
上高地の美しい風景(中部地域動画シリーズPart3より)

Q. 今後、挑戦したいコンテンツや注目スポットなどはありますか?

新しいコンテンツのアイデアには事欠きません。
隠岐の島、淡路島、対馬、波照間島、南伊豆諸島などの島々や、岐阜、佐賀、和歌山、新潟などの重要な都市など、まだまだ紹介していない観光地がたくさんあります。
今後も、観光ガイドの地理的範囲を広げていきたいと思っています。
また、この2年間で新しい観光スポットがたくさんオープンしており、ぜひ取材して紹介したいと考えています。

多言語での正確な情報発信の重要性

Q. コロナ前後で、ジャパンガイドのユーザーが求める情報ニーズに変化があったと思いますか?もしあったとすれば、どのような点ですか?

この1年間、ユーザーから旅行に関する問い合わせがほとんどない状況でした。
その一方で、入国審査の状況に戸惑う留学希望者や就労者、家族などのビザ申請者や在留外国人からの問い合わせが多く発生しています。
その一因として、政府のウェブサイトがとてもわかりにくいデザインになっていることが考えられます。
私たちはユーザーが理解できる言葉で状況を説明するようにしていますが、時には私たちでさえ正確なルールを理解するのが難しいこともあります。

コロナウイルス関連の最新情報を掲載する「Travel Alerts and Disaster Updates」ページ

Q. コロナ禍も安全に配慮して取材を続けてきたと思いますが、インバウンド客がいない今、観光地で感じたことはありますか?(課題や改善点、はたまた再確認できた良い点など)

私個人ではあまり旅をしていませんが、仕事の関係で、昨年三陸海岸に行きました。
また関東甲信越地方へのセミプライベートの日帰り旅行を頻繁に行っています。
平日に訪れることが多いので、週末の状況はあまりわかりませんが、訪れるスポットの多くは穏やかで、閑散としている印象です。
個人的にはとても魅力的に感じますが、地元の企業やお店にとっては大変な状況だろうといつも感じています。

パンデミック後、予約システムやコロナに関するルールを外国語で提供する観光業者が少なく、情報量がかなり減っていることに気づきました。
これは、インバウンド客がほとんどいない時期に、外国語の情報を作成する労力が正当化されないためだと考えられます。しかし、この傾向はコロナ禍の間のみにとどまらず、インバウンド再開後にも悪影響を及ぼすのではないかと危惧しています。

今後のインバウンドの展望

Q. 長年訪日情報を発信してきた経験から、今後インバウンドの再開に向けて、インバウンド関係者は情報発信においてどのような点に留意すべきだと思いますか?

最近の政府の動向を見ていると、個人的には2022年のインバウンド復活に過度な期待はできません。来年も国境が閉ざされた状況が続くことが予想されます。
そのため、インバウンド産業やインバウンド客に恩恵を受けていた地域、特に大都市以外の地方にさらなるダメージを与えるのではないかと心配しています。インバウンド業界は、もう少し辛抱が必要だと思います。

今は、国内の観光客(在留外国人)をターゲットに、実際の旅行者にとって最も役立つコンテンツや、多言語で提供されていないことが多い情報を発信していくことが重要なプロモーションの1つです。

実際に、今年11月にジャパンガイドに掲載した、在留外国人が利用できる鉄道パスを紹介した記事(7 JR passes that can be used by foreign residents of Japan)はかなり好評でした。
同様に、「Go To Travel」が再開されれば、昨年の秋のように、キャンペーンに関するページ(Go To Travel explained)が再び人気を博すことを期待しています。

インバウンドが再開した後、旅行者のニーズがどうなるかは予測できません。
なぜなら、それまでに多くのことがさらに進化・発展すると考えられるからです。
しかし、団体旅行から個人旅行への流れが加速し、多くの旅行者が以前よりも混雑を避けて目的地を選ぶようになると思います。

また、より安心を求め、コロナウイルスに関するポリシーをウェブサイト上に多言語で明記しているホテルやレストランを選ぶようになるのではないかと予想しています。

ジャパンガイド事業についての詳細:https://www.export-japan.co.jp/solution_services/japanguide/

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