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欧米豪の訪日客が好む「日本食」体験と傾向

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日本を訪れる外国人観光客にとって、「日本食を楽しむ」ことは、旅の中で最も重要視していることの一つです。

各都道府県のご当地グルメやその土地ならではの食文化が楽しめることは、日本の特別な魅力といえるのではないでしょうか。

今回は「日本食」をテーマに、訪日欧米豪ユーザーの傾向やプロモーションにおけるポイントを解説していきます。

観光庁が調査したデータによると、欧米豪圏の訪日外国人(今回は米、英、豪、カナダ、独、仏の6カ国を対象)の「訪日前に最も期待していたこと」の第一位は、各国共通して「日本食を食べること」という結果になっています。

観光庁:「2019年年間値の推計」※確報値 参考11 国籍・地域(21区分)別 訪日旅行に関する意識 (満足度など)【観光・レジャー目的】

訪日外国人の日本食への関心の高さの要因として、近年の日本食ブームが影響していると考えられます。                                              現に、農林水産省の調査によると、「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録された2013年に約5.5万店だった世界の日本食レストラン数は、10年足らずで約3倍の約15.9万店に増加しています。

いまや日本食は世界のどこにいても気軽に楽しめることができます。自国で「日本食」を好きになった人々が、「日本」へ興味を持ち、                               日本に観光に訪れるという例も少なくないのではないでしょうか。

訪日欧米豪に人気な日本食1位は「ラーメン」、2位は肉料理

一概に日本食といっても、ジャンルはさまざまです。実際に日本を訪れた欧米豪観光客に人気な日本食は何でしょうか。                                      ジャパンガイドでのプロモーション事例と共に、その傾向を解説します。

観光庁の2019年の調査によると、訪日欧米豪外国人の「一番満足した飲食」のアンケート結果は以下の通りです。

トップ3は、各国とも共通で、1位ラーメン2位肉料理3位小麦粉料理という結果になっています。

観光庁:「2019年年間値の推計」※確報値 参考11 国籍・地域(21区分)別 訪日旅行に関する意識 (満足度など)【観光・レジャー目的】

1位のラーメンについては、全国籍平均と比較しても全体として割合が高く、欧米豪圏の訪日客からの人気が伺えます。                                       特にオーストラリア、アメリカについては、他の4カ国に比べても割合が高いことがわかります。

公式YouTubeチャンネルでは、ラーメンの特集動画も制作・配信されています。再生回数は、掲載から約1年間で10万回再生(2022年6月現在)と                             過去に配信された動画の中でも人気の動画の一つとなっており、ユーザーからの関心の高さが伺えます。

ジャパンガイドFood関連ページにおいても、主要ページのアクセス数を比較すると、群を抜いてラーメンページの人気が高く、                                  次いで寿司ページお好み焼きページとなっています。

Ramen: History, Variations & How to Eat

2位には肉料理がランクインしています。意外な結果だと感じる人も多いのではないでしょうか。

海外でも神戸牛や松坂牛をはじめとした「Wagyu(和牛)」の認知度が高く、またより多くの外国人観光客にとって身近な食材という点が、肉料理が上位にランクインする要因の一つと考えられます。

訪日初心者層が全体の約6割を占める欧米豪圏からの観光客にとって、豚カツやしゃぶしゃぶなどをはじめとする肉料理は、                                     日本食にあまり馴染みのない人にとっても挑戦しやすいジャンルであることも大きな要因ではないでしょうか。

ジャパンガイドの動画の中でも度々「和牛」を紹介(「Sushi, Wagyu & Tea Around Kyoto」より)

日本食×体験コンテンツの魅力

冒頭でも述べたように、日本には各地に根付いた独自の食文化やご当地グルメが存在します。訪日外国人にとって、訪れた土地ごとにさまざまな日本料理が楽しめることは、旅のアトラクションの一つになると考えています。

さらに、日本の文化体験に興味関心が高い欧米豪圏の観光客にとって、実際に料理教室に参加し、体験を通して日本食を学ぶアクティビティなども満足度の高いトピックです。

ジャパンガイドの過去の動画でも、ユニークな体験を通して日本食を楽しむコンテンツを数多く取り上げています。                                        以下、2021年にジャパンガイドで公開した中部エリアを周遊する3本のシリーズ動画「Off The Beaten Track」も実例の一つです。

静岡県の民宿での地元の食材を使った夕食作り体験や茶摘み体験とお茶のテイスティングを楽しめるアクティビティなど、欧米豪ユーザーが好む日本文化として「食」を学べるコンテンツを紹介しています。いずれの動画もLike割合は99%を超えており、視聴者からの評価がかなり高い動画になっています。

民宿での夕食作り体験(「Ninja & Pottery in Central Japan | Off The Beaten Track: Part 1」より)
茶摘み体験と収穫したお茶のテイスティング(「Green Tea & Kimono in Central Japan | Off The Beaten Track Part 2」より)

「歴史」や「食べ方(How to)」を紹介した動画が人気

日本食に関心のある外国人にとって、食に関連する歴史、また日本特有の食べ方の紹介などは大変興味深いトピックになります。

以下は2019年にジャパンガイドで配信した「寿司」の紹介動画です。

Sushi: How to Eat, History & Cost」:掲載から約3年で総再生回数11万回

寿司の起源から寿司の種類、食べ方など、寿司に関する奥深い情報を集約した動画になっています。視聴ユーザーからのコメントには、                              「お寿司の世界について、興味深く、素晴らしい情報をたくさん学ぶことができました。お寿司についての新しい発見のおかげで、もっと日本料理が好きになりました。」といった日本食への探求心が強いユーザーからのコメントも多くみられます。

また、「焼肉、しゃぶしゃぶ、すき焼き、お好み焼きなど、ほかの日本食のHow to動画を作っていただけないでしょうか?」といったリクエストも見られ、関心度の方さが伺えます。

イラストを活用した寿司の起源の解説や寿司の食べ方を紹介(「Sushi: How to Eat, History & Cost」)

このように訪日外国人にとって、「食」は旅行を楽しむ上でかなり大きな要素であることがわかります。                                            訪日向けプロモーションにおいても、各エリアの観光スポットのみならず、それぞれの地域ならではの食文化を歴史に絡めて紹介することで、ひとつの観光コンテンツとして「食」を発信することが可能だと考えます。一方で、メニューの多言語化や英語対応などの課題があるのも事実です。来たるインバウンド回復に向け、外国人観光客がより快適に日本食をはじめとした「日本文化」を楽しむための施策として、多方面での多言語整備が重要なポイントになってくるのではないでしょうか。

(参考資料)

・農林水産省:海外における日本食レストラン数調査結果(令和3年)

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